Lost-Life





コンピュータ依存の高校生のひとりごと
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
書評:未来を予測する技術
 小飼弾が、自身のブログ(404 Blog Not Found)で

 本書はこの一年で出た本のうち私が読んだ中で、最も多くの人に読んで欲しい本ベスト1なのだから。

 と公言した本、佐藤哲也氏による「未来を予測する技術」(ソフトバンク新書)をなんとか読み終えたので感想を書いてみる。


 まず、読み終えた感想として「難しかった」というのが素直に出てくる。「簡単じゃん」なんて見栄を張る余裕もなく、後半のスパコンやオーロラの解説は、結局正確に理解できたとは思えない。かといって、本書の内容、筆者の文章能力が悪いのではなく、俺の知識、理解力が乏しいだけだと思われる。これは、俺がコンピュータのハードウェア、自然現象にあまり関心がなかったための結果ではないかと考える。しかし、本書の本質ともいえる"シミュレーション文化"は完全に理解したつもりだ。
 前回のモバゲータウンの本同様、項目分けをして感想を述べたいと思う。国語能力がないのは毎度のことなので、目をつぶって欲しい。

・コンピュートニクと呼ばれる「地球シミュレータ」
・マクロとミクロ、デカルトの要素還元論
・ホリスティックで見る必要性

 <コンピュートニク・ショック>

 2002年の4月にニューヨークタイムスの一面に「日本に『コンピュートニク』が出現した」という記事が載った。
 2002年4月と言えば、俺が東京からここ宮城に越してきてから1年が過ぎた頃、小学6年生にあがったばかりだったはずだ。数ヶ月後には自宅のパソコンをバラバラ(確立した"部品")に分解して、学校行事で発表することになるとは考えもしなかった。つまり、2002年4月は俺が本格的にコンピュータに興味を持つ前の時期となる。
 この「コンピュートニク」というのは、本書の話題の中心となる「地球シミュレータ」を指す。シミュレータと一口で言ってもわかりづらいかと思うが、いわゆるスーパーコンピュータ(以下"スパコン")である。
 なぜ、「コンピュートニク」と呼ばれたかというと、1957年にソ連が打ち上げた人類最初の人工衛星「スプートニク」になぞらえたものだという。
 メタルギアソリッド3というPS2のゲーム(冷戦時代のソ連が舞台の戦争ゲーム)を最後までプレイ(※)した方はわかると思うが、このスプートニクの打ち上げ後、アメリカは躍起になって、ソ連に追いつけ追い越せと宇宙開発をすることになる。つまり、アメリカはソ連の技術が、自国の技術よりも遥かに優れていることを知り、恐れた。
 これと同じように考えてもらうといい。コンピュートニクと呼ばれる「地球シミュレータ」は、超大国アメリカにとってとても大きな存在であったということである。
 残念ながら、俺は本書を読むまでこのスパコンのことは知らなかった。コンピュートニクが取り上げられた当時に、今のように毎日ITmedia(IT情報のポータルサイト)を見ていれ場、この技術に早く注目することが出来たと思う。しかし、この5年間の間に大きく取り上げられたことはあったのだろうか、少し疑問である。
 本書は、地球を丸ごとシミュレーション、つまり、未来の予測をするスパコン「地球シミュレータ」に着目し、今後のシミュレーション文化についての考察を主としている。

 ※ラストボスの"ザ・ボス"と戦うときのデモムービーで、ソ連の宇宙開発の話題が出る。そこから核ミサイルの話へと発展する。


 <マクロとミクロ、デカルトの要素還元論>

 本書では、このデカルトの要素還元論未来を予測する技術には大きな関連性があると述べている。俺はこの事実に大いに納得、感心した。(テーブル内は本書より引用)

 ルネ・デカルト(1596-1650)は、その著『方法序説』の中で、現実の世界の振る舞いは非常に複雑で、そのままでは物事の法則性を見出すことは不可能に近いと考えた。そこで、複雑な物事を理解するためには、物事を人間が理解できる程度の細かな要素に分解し、それぞれの要素を支配している法則を丁寧に紐解いていくべきと考えた。そしてその後、解明したそれぞれの要素を全て再び合成すれば、複雑な物事の現実が理解できるのではないかと考えた。

 もの(マクロ)を見るときは、それを構成するものの1つひとつ(ミクロ)を見て、最終的にそれらを総合して全体(マクロ)を見るとよい。というのがデカルトの要素還元論である。
 人体という総体を見るとき、人体を1という単位で見るよりは、人体を構成する血液や骨、肝臓や腸と言った人体を構成する細かなものを1として見ると、その構成されている部分のシステムの1つとしての役割、総体における役割を見ることが出来る。血液を更に細かく部分にわけて見れば、更に詳しい総体のデータを見ることが出来る。
 小さなもので構成されている大きなものは、小さなものの変化によって変化する。
 俺なりにまとめてみると、こうなる。
 昔、絵本とかで"木が喋る"、"テレビが喋る"なんていうシチュエーションを見たことがある。俺は小学低学年頃にそれを振り返ってみて、「木が喋るのなら、葉っぱは喋らないのはどうしてか」、「テレビが喋るのに、テレビの中に入っている部品が喋らないのはどうしてか」と考えたことがある。これを高校2年生となった俺の思考でまとめてみると
 「"木"という総体が喋るなら、それを構成している"葉"はなぜ喋らないのか。"葉"を総体として見ることも可能なはずで、更にその葉を構成している"葉緑体"を総体とすれば、葉緑体も喋るのではないか。俺から見れば、"木が喋る"ということも"葉が喋る"ということにも"葉緑体が喋る"ということにも、本質的な違いは見出せない。」
 ということである。
 全体をどこに置くかで、ものごとの見方が大きく変わってしまうと改めて思った。
 1億年を1と置くスケールは、我々人間にとってはあまり現実味がなくて考える意味を感じない。何億年後に地球が滅びるなんてことをきいても、自分の生活に影響するわけではないからと無視する。
 10年を1と置くスケールでも、考えられる単位は10年、20年という10の倍数でしかないために、身近に感じることはなかなかないと思う。10年後に地球がどうなってるか、凡人の俺は自分の未来を考えるくらいで精一杯で、考えられる余裕はない。
 では、1秒を1としたらどうなるだろうか。考えの幅が格段と広がったことを実感できると思う。考え方、つまり、パラダイムを細かくすることにより、柔軟な発想を得ることが出来るのだ。「大は小を兼ねる」とは、まさにこのことを言っている。
 
 これを単純に理解すると、「未来を予測するにはマクロを見るよりもミクロを見るべきである」という考えが真っ先に浮かぶが、実際はこれの逆なのである。

 <ホリスティックで見る必要性>

 要素還元という方法論の中に、重大な欠落、大切な落し物があることに、今まで気づかなかったという問題を指摘したいのである。人間を取り巻く全ての事象は、一つ一つの小さな事柄が、時間的にも空間的にも繋がって発展しているということを忘れている、と言いたいのである。

 (中略)つまり、取り出された要素の基本法則が現実の中で適用されえるのは、ある限られた条件の枠内に限定されているということになる。
 しかし、現実の自然や社会の振る舞いはそれほど単純なものではなく、物事は複雑に関係性をもちあり、あるときはある関係性は弱くなり、またあるときは関係性がその発展の運命を決定づける。これが社会や自然のありのままの営みである。したがって、自然や環境が関係してくる問題に対して、人間に都合のよい時間スケールを持ち込んで物事を分解したり合成したりすることは本来は不適切なことなのである。

 この本質は、前項目でもう書いている。人間に都合のよい時間スケールとは、さきほど言った"1億年単位"のようなものである。無限大と言う言葉があるが、同じように無限小という言葉もある。1億年は未来にだけ存在するのではなく、過去にも存在する。1億年を無視するということは、現在に至るまでの1億年の間に起こったことを全て無視することになる。これは、要素に分解する過程で人間の都合のいい分解の仕方をしたのでは、要素の本質を理解することは出来ないということを言っている。
 それならば、細かく分解して合成するのではなく、初めから全的なパラダイムを持って全体を見たほうが、見る対象の本当の本質を掴めるということだ。これをホリスティック・パラダイム、全体を見るパラダイムと呼び、要素還元論とは違う新時代の発想となる。


 これが、本書の概念の概要である。概要というよりは、個人的見解による理解の仕方と言ったほうが正しい。
 素直に「難しい」という感想を先に述べたが、この概念の理解によって、物事の見方を改めさせられたように思う。人は見かけじゃないとか、見た目は中身に伴うとか、色々な見方があるが、マクロとミクロを上手く見ることの重要さを感じた。小飼氏が絶賛するのもうなずける。

 本書には他に、実際に「地球シミュレータ」でシミュレートした地球の温度変化やオーロラの発生の予測、自動車衝突時の自動車の破損状況のシミュレートなど、具体的な事象も載っていてとても面白い。
 コンピュータの歴史、このスパコンが出来るまでの過程も載っているが、俺にはなかなか理解が難しかった。何度か読み直す必要がありそうだと感じた。

 この記事を読んで、少しでも興味を持った方は本書を買って読んでみることをお勧めする。その際、早く読もうという考えを持って読むことはお勧めしない。ひとつひとつの言葉を確実に理解しながら読破して欲しい。実際、俺は本書を読む際に確実に頭に入れるために何度か音読した。それでもなお、未だに理解できていないこともあるくらいである。
 とにもかくにも、この本に出会うキッカケを作ってくれた小飼弾氏には大いに感謝するばかりである。

未来を予測する技術 [ソフトバンク新書] (ソフトバンク新書 46) / 佐藤 哲也

スポンサーサイト

Theme:書評 - Genre:本・雑誌

ComMent
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
SeCret: 管理者にだけ表示を許可
 
Track Back
この記事のトラックバックURL
http://lostonlife.blog118.fc2.com/tb.php/2-d9839b3e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。