Lost-Life





コンピュータ依存の高校生のひとりごと
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書評:スーパーコンピューターを20万円で創る
 小飼弾の書評からセレクトした本の中で最後に読み終えた、伊藤智義氏による「スーパーコンピューターを20万円で創る」(集英社新書)の書評を書いてみようと思う。
 この本を読むキッカケとなったのは小飼弾の書評の最初の文。

 買え!今すぐ!
 この最高のドラマを、読みのがすべからず。


 それなりに名前が売れている本ではあったが、そんなに面白いのかと強い期待を抱きながら読んだが、そこまで感動しなかったというのが素直な感想である。期待しすぎたかもしれない。
 それでも、本書は俺にとても大事なことを植えつけた。

 前から抱いていた研究職への憧れがいっそう強くなった。

 通常、スーパーコンピューターは数十億、数百億という膨大な予算のもとでつくられる。それを、本書では題名の通り20万円で創りあげたプロジェクトをドキュメンタリー形式で紹介している。
 最初は直感的にそれだけで凄いことだと感じるが、機能の限定をしたからこそ実現したコストダウンだった。
 
 この物語の主人公はコンピュータの知識に長けている人間ではない。コンピュータの知識に乏しい天文学者だ。
 天体のシミュレーションをするために、当時あったスパコンを使って計算をした天文学者は、当時のスパコンの能力では正確な計算が出来ないことを知る。それなら天体のシミュレーションに特化したスパコンを創ればいいと考えた。
 これが、後にたった20万円という低コストで創られる GRAPE の開発の発端である。

 本書はこのGRAPEの開発に携わった 杉本大一郎、戎崎俊一牧野淳一郎、伊藤智義(本書著者)の熱意と人間模様を描いている。NHKのプロジェクトXを物語形式にしたようなものだ。

 本書を通じて感じたことは

・天文学とコンピュータの深い関わり
・ハードウエアへの興味
・研究職への憧れ

 この3つのテーマから本書の感想を書いていく。

<天文学とコンピュータの深い関わり>

 以前読んだ未来を予測する技術のなかで、スパコンによるシミュレーションの代表としてあげられていたのが天体のシミュレーションだった。
 本書も天文学者が天体のシミュレーションをするためにスパコンを創る。天文学とコンピュータは何故こんなにも結びつきやすいのだろうか。
 答えは、天文学という分野が人間の力だけでは到底研究することはできないものだからだろう。
 宇宙に思いを馳せる人間は多い。俺もそのなかのひとりだ。NHKの「ダークマターとはいったいどんな物質?」のような科学番組が大好きで、中学校の頃に理科の教師から天体に関するDVDを借りにいったほど。
 個人的な体験も含め、天文学とコンピュータは深く関わっていると感じた。
 もうひとつ、代表的なシミュレーションに、タンパク質のシミュレーションというものがある。本書にも「未来を予測する技術」にも、このシミュレーションの記述はある。
 生命科学、生物学。この分野とコンピュータも関わりは深い。
 全てに共通するのは自然的な研究分野だということ。神と形容される自然の謎を解き明かすには、人間が生み出した神、コンピュータで対抗するしかないということだろう。
 コンピュータの研究をするということは、あらゆる研究分野と関わりを持つということになる。


<ハードウエアへの興味>

 俺はコンピュータ、情報技術が好きだが分野としてはソフトウエアや通信技術のほうに興味があって、ハードウエアにはあまり関心が無い人間だった。電子基盤を見るとどうも"アナログっぽい"と思ってしまうのである。基盤は人間がプログラムする大量生産用の機械で作ってろというのが俺の考えだった。
 しかし、本書ではコンピュータの素人(といってもこの研究に携わった彼らは東京大学の教授、助手、院生、学生で、素人は言えども理解能力が高かったのは容易に推測できるのだが)が基盤からスパコンを創る。その描写がとてもリアルにされている。これは、著者である伊藤氏が直接基盤の製作に携わったからであろう。
 この伊藤氏の試行錯誤の様子を見て、ハードウエアもソフトウエアと同じデジタルだということを改めて理解した。
 狭められていた俺のコンピュータという道が、すべてひらいたということになる。


<研究職への憧れ>

 俺は前ブログでも言ったように、研究職に憧れていた。両親が研究職(情報技術関係ではない)に就いている知り合いを持ってから、話をきき、その人の親の著書を読み、「なんてやりがいのある仕事なんだ」と感動したのである。
 その気持ちが本書を読んだことによって飛躍的に大きくなった。
 もし、研究職へ少しでも興味を持っている方がいれば、この本を読むことをお勧めする。研究職の面白さというものが滲み出てきている作品だ。


 と、今回は本質的な書評はしなかった。小飼弾の絶賛ぶりに期待しすぎてちょっと物足りないかなというのを感じながらだったので、なんとなく自分より感想になってしまった。
 でも、本書はとても面白い
 スパコンがどうだとかいっても、コンピュータの重い知識がないと理解できない内容ではない。俺が本書で難しいと感じたのは、天体の動きの話や東京大学のシステムのほうだった。コンピュータの話ももちろんあるのだが、俺のコンピュータ知識の有無によって理解度が変わるものではなかった。なにせ、この物語は俺が生まれる前の話、Windows95なんてパソコンが登場する前の話である。GRAPE-1が完成したのは1989年で、俺が生まれる2年前のことである。俺が持っているWindowsで得た知識なんていうものはなんら役に立たない。

 本書で気に入った喩えや言い回しがたくさんあったのだが、時間の都合で別に機会に紹介しようと思う。

 本書で得た大きなこと、それは、研究職への大きな憧れである。
 勉強意欲が格段とあがった。


スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書 395G) / 伊藤 智義
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Theme:書評 - Genre:本・雑誌

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